徳丸無明のブログ

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R-1グランプリ2026 感想

冬の寒さがしぶとく居残り続け、春の足音がなかなか聞こえてこず、桜に休眠打破パンチをくらわしたくなるも、タケノコが飛び出てきたら危険なので、衣替えの代わりに天ぷらのコロモを食べ、イタコに春一番を降ろし、森山直太朗にサクラを命じ、ひたすらつくしに尽くしてはいるけれど、復帰したセカオザさんの活躍が期待される今日この頃、皆さんご機嫌いかがですか的なR-1グランプリの感想文です。

今回は9人中6人が初の決勝進出となった、ピン芸ナンバーワンを決める賞レース、R-1。しかしフレッシュかというと、平均芸歴は高めで、若手はしんやだけ。元々この手の大会は、ブレイクのキッカケ作りのためにあるわけですが、今回は特に、売れないベテランが飛躍をねらう意味合いが強めになりました。

 

個別の感想は以下の通り。まずはファーストステージから。

 

 

しんや・・・ラグビーの経験をもとにしたラグビーネタ。ラグビーを持ち上げ、ほかのスポーツを腐す。

言ってること同意できないのがほとんどで、あるあるの対極みたいなネタなのですが、大声によるパワープレイでねじ伏せてくるというか、問答無用で笑わせてきます。共感できない奇人をながめてるみたいなかんじ。奇人だから、悪口言ってても反感を覚えることはなく、「好きなだけ言ってくれ」という気持ちになります。

ハリウッドザコシショウが「なんかちょっとだけひとりよがりになっちゃったような」と評してましたが、そもそもこのネタって、ひとりよがりの滑稽さが笑いどころなんだから、そんなこと言ったら根本の否定になっちゃうんじゃないでしょうか。

芸人の数が年々増え続けている現在、ラグビーキャラ&ネタというニッチなポジションにこだわるのは、生き残り戦略としてクレバー。ラグビー関連の仕事だけはずっと途切れないでしょうからね。ラグビーネタを10年20年と続けて、どれだけ進化するかも楽しみです。

 

今井らいぱち・・・スペシャルドリームアドバイザーといううさんくさい肩書を持つ人物、財前一樹が高校で講演会を行う。高校生の反応が予想外で、予定していた話ができない。

けっこうな時間をかけて準備してきたであろう映像がすべてムダになり、話をすることもできない。「物事がうまくいかない」というのは笑いの基本ですが、映像が次から次に流されていく、というのはあまりなかったので新鮮。財前はしゃべりや動きがうっとうしく、好感が持てないキャラなので、かわいそうな目にあっても心が痛まず、気持ちよく笑えます。この展開のためのキャラ設定なのですね。お見事です。好きな食べ物は、よっぽど訊くことがないときにする質問で、最初からずっと生徒たちにおちょくられていたんじゃないかと思えてきます。

 

ドンデコルテ 渡辺銀次・・・M-1と同様の演説漫談。ブラジャーを手洗いしなくちゃいけないのはおかしいと熱弁する。

些細なことをさも一大事であるかのように話すとか、自分事を他人事のようにふるまうとか、形式はわりとベタ。言ってることもほとんど普通で、あまりおかしな内容ではないのですが、だからこそムダな熱量が笑えてくる。たくみな話術で引きつけられ、主張に同意できなくても、いやむしろ同意できないからこそ面白い。

しかしひとりでも成立し、漫才とほぼ遜色ないのであれば、小橋の存在意義ってなんなんでしょうか。

 

ななまがり 初瀬・・・答えがないものの答えを言い切るネタ。ただ言い切っているだけで、それが正解とは言わないし、なぜそう言い切れるかの説明もほぼしない。

言い切ってしまうことの、「有無を言わせない」面白さ。「なんでそう言い切れるんだ」とか、「どうしてそんな自信があるんだ」といった疑問を、いっさい寄せつけない力強さ。「たぶんこう言うだろうな」と予想してて、実際その通りになったとしても笑えます。それだけの力がある。「バールのようなもの」は、みんな「はっきりバールって言えよ」と思っていたでしょうから、「よくぞ言い切った!」という爽快感があります。

これ、バラエティ番組のちょっとした合間に、初瀬が披露してるの観たことあったんですね。そのときはすごく面白かったし、発明だと思ったのですが、でも1本のネタとしてまとまった数見せられるとちょっと弱くなるというか、箸休め的にはさみ込むのはいいけど、1本のネタにはしないほうがよかったような気がします。それに展開作るのはよかったんですけど、メタ視点になると、なぜか笑いより関心が先に立っちゃいました。

しかし初瀬、しんやは生き別れた兄弟なのでは。

 

さすらいラビー 中田・・・試合に負けたチームの部員に監督がエールを送る、涙のロッカールーム。しかしエールを送っていたのは、相手チームの監督だった。

これは正直、設定はすごくいいのに、それを充分活かしきれていないと思いました。強豪校対弱小の進学校でボロ負けしたのであれば、もっと上からエラそうにくるかんじにしたほうがよかったのでは。あるいは、寄りそってるフリしててつい皮肉がもれてしまうとかですね。この監督は寄りそいすぎだし、言い方キツイところはあるけど、普通にいい人です。これだと笑いを生みにくい。前髪の天丼と、「◯◯がわかるようじゃ~」という引っかけは面白かったですけど、わりとベタ。とにかくいい設定なのにもったいない、という印象です。バカリズムとほぼ同意見。

 

真輝志・・・助けてやったタヌキが、恩返しに家までやってくる。タヌキはなんとか恩返しをしようとするが、助けた男はひたすら断り続ける。

昔話の出来事が現代に起きるとどうなるかという実験的ネタ。「夜行性を押しつける」って面白いですね。だからタヌキだったのか。何がなんでも恩返ししようとするタヌキもタヌキだし、男は男で、たとえば「肩揉んでくれ」とか、テキトーなお願いしてさっさと帰ってもらえばいいのに、むやみに意地はってる。恩返しができないタヌキが気の毒なようでもあるし、かたくなに断る男の言い分にスジが通っているようにも聞こえる。どちらが正しいとは一元的に決められない、何気に奥が深いネタ。ワードもひとつひとつが面白く、センスを感じます。もっと高い得点になってよかったと思うんですけどね。

 

ルシファー吉岡・・・中学の国語の授業。先生が実体験した合コンを、勉強になる物語として披露する。

うっすら下ネタ回帰。王様ゲームでもしっかり掘り下げるとけっこう深いことがわかります。話を進める中で、先生の視点、友達の視点、2番の女の子の視点、3番の女の子の視点と、全体が多角的に見えてきます。その「深さ」がバカバカしくて面白い。ルシファーのしゃべりのたくみさも光ってました。『走れメロス』ならぬ「握れ2番」はナイスワード。太宰つながりで『人間失格』のオチもキレイ。

敗退のときにやってた顔芸、ゴールデン生放送だから言わなかったけど、顔ち◯ぽですね。ザコシの「顔が下ネタ」という指摘は正しい。

 

九条ジョー・・・ベンチャー企業っぽい会社の社長が就職面接を行う。面接に来たのは奇妙な人物だった。

面接を受けている後藤君がおかしなことをしているのが、あとからあとから判明するしかけ。これぞピン芸ならでは。あとになればなるほど「そんなおかしなヤツだったのか」となります。しかし社長もキャラが立っており、奇妙と奇妙のぶつかり合いになっています。社長がこれだけ奇妙なら、奇妙な後藤君も受け入れていいのでは、と思ってしまいました。社長は普通の人にすべきだったのでは。コウテイ時代のオーバーリアクションそのままでしたね。アフタートークやるのはよかったんですけど、その内容はイマイチ。余計なつけ足しっぽくなっちゃいました。

 

トンツカタン お抹茶・・・町娘に狼藉を働こうとするならず者を、侍が成敗する。侍は刃の部分がピアノの刀を持つ、ピアノ刀侍だった。

さすがのぶっ飛んだ発想力。ピアノの刃が見えた時点で当たりネタであると確信しちゃいます。黒鍵だけで戦うとか、殺陣で曲を奏でるとか、ピアノを使ってできることを最大限詰め込んだネタになってます。完成度高し。バカバカしいようで、ちゃんと咀嚼しないと理解できない高度さ。

僕はすでにお抹茶にハマっちゃってますよ。

 

 

続きましてファイナルステージ。

 

 

ドンデコルテ 渡辺銀次・・・1本目と同じ演説漫談。シームレスの透けないパンティに感謝を述べる。

上の次は下。感謝していると見せといて、突然苦情に切り替わる。1本目がフリになっているので、「またか」という笑いが起きます。銀次の手にかかれば、話題はなんでもいいんですね。話術とロジックでなんでも面白く仕立て上げることができる。もっといろんなテーマで演説してもらいたいものです。

ちゃんとパンティをはいていたのなら、見せはしないけどブラもしていたんでしょうね。やるならそこまで徹底しているはずです。

 

今井らいぱち・・・YAMATOというミュージシャンがライブを行う。普通の歌手かと思いきや、モロハ風絵描き歌だった。

「できたできた、◯◯できた」の反復が気持ちいい。これってらいぱちの力?それともモロハの力を借りてるだけ?言葉と線の結びつけがやや強引に見えますが、それが笑いになるし、自分で「仲間ってすげえだろ」って言うタイミングが的確です。最後の「ワニさんがみんなを食べたのかと思いきや、サメから守っていた」というオチ、一瞬わからなくて、「ん?」ってなっちゃいました。

絵に描いたような人生の逆転。優勝おめでとう。

 

トンツカタン お抹茶・・・夜道でトレンチコートの中を見せてくる男。変質者と思いきや、コートの中はプラネタリウムだった。

星が見えない都会に出没するのでしょうか。ミュージカル要素もあり、変態と天体、正座と星座のダジャレなど、頭からっぽで楽しめるネタです。前回の「かりんとうの車」もそうだけど、単純にプラネタリウムの歌がいい。母親と星々に話しかけるあたりで失速した感は否めませんが、充分よくできていたと思います。

いや、これもう独り立ちできる実力あるでしょ。・・・と思ってたら、24日にトンツカタンが解散を発表。マジか!

お抹茶がR-1で自信をつけたのが解散の一因だったりする?森本はまあいいとして、櫻田は大丈夫なのか。3人の前途に幸多からんことを。

 

 

僕はM-1とキングオブコントの優勝予想はそこそこ当てるんですけど、R-1の的中率はすごく低いんですね。でも今回は大当たり。第2候補のルシファーは4位だし、第3候補のお抹茶は準優勝。好成績です。

今回司会が霜降り明星と広瀬アリスから、南海キャンディーズの山里亮太と生見愛瑠に変わりました。これは単なる変更、リニューアルの一環なのかもしれませんが、他意があるのかもしれません。

去年THE Wが粗品を審査員に入れたのって、明らかに「テコ入れ」じゃないですか。粗品が毒を吐くことに期待してたんですよね。「粗品が何を言うのか」と期待させて視聴率を稼ぐ。放送後にネットニュースになることでTVerが回る。

たぶんオファーしたとき、粗品とスタッフのあいだで、「僕言いたいこと遠慮なく言いますけどいいですか?」「おもいきりガンガン言っちゃってください!」みたいな会話があったはずなんですよ。「ytv漫才新人賞みたいにやっちゃってください!」とか言われてね。一種の炎上商法を取り入れたわけですね、Wは。

別にそれが悪いとは言いません。さほど注目度が高くなくて、これからも大会続けていけるか不安があるなら、おおいにテコ入れすればいいと思います。

僕がここで言いたいのは、R-1はその手段を選ばなかったんじゃないか、ということです。炎上をいさぎよしとせず、毒のない、みんなが気持ちよく観れる大会にすることを選んだのです。

まああくまで推測ですし、山ちゃんは山ちゃんでネットニュースになるでしょうけどね。司会と審査員の違いもあるし。

なんだかんだ言われながらも長く続いているR-1グランプリ。けっこう安定感の高い賞レースと言えるでしょう。

ところで街裏ぴんくはどこ行った?